観葉植物を育てていくうえで大切な土ですが、今回はその中でも最も多く使われている赤玉土について特徴と使い方について紹介していきます。
赤玉土とは?
関東平野一帯に広がる火山灰が長年降り積もってできた関東ローム層。
そこから採取できる赤土を乾燥させ、ふるいにかけて粒状にしたものが赤玉土です。含まれている鉄分の影響で赤褐色した粘土状の土となります。
赤玉土の特徴
基本用土として使える
植物を育てるうえで、さまざまな土を混ぜ合わせて育てる培養土。その中の大部分を占める基本用土として赤玉土は使用することができます。
その特徴として赤玉土は通気性・排水性だけでなく保水性と保肥性にも優れています。水はけの良い土を好むことの多い観葉植物にとって通気性と排水性は大切なことで、植物は根から水分や栄養を吸収するだけでなく酸素も吸収し呼吸をしています。
水はけが悪いと土と土の粒の隙間に入る空気も入ってこず、水が常にある状態となり根は呼吸をすることが出来ず根腐れを起こしてしまいます。
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土の粒の隙間から水は抜けていきますが適量の水分や栄養素は1つ1つの粒が吸収してくれる為、保水性と保肥性も兼ね備えた観葉植物に適した土といえるでしょう。
酸度調整の必要なし
赤玉土が観葉植物の基本用土としてもっとも多く使われる理由の1つが酸度調整が必要なく植物に好まれている酸性度だからです。土には酸性の土やアルカリ性の土があり、それぞれpH(ペーハー)で表されます。
pHは酸性アルカリ性の程度を表す指数で、pH=7.0を中性とし数字が小さくなるにつれ酸性度が増し、逆に数字が大きくなるにつれアルカリ性が増します。
赤玉土のpHは6.0前後の弱酸性で植物にもそれぞれ好みの土壌がありますが、観葉植物のほとんどは弱酸性の土を好みます。そのため赤玉土は酸度調整することなくそのまま使え観葉植物を育てるうえで多く使われています。
ただ、酸性を好む植物には赤玉土を基本用土とするのは不向きです。サツキ・ツツジ・ガーベラ・ダリアなどは酸性を好みます。その場合は、酸性度の強い鹿沼土を基本用土とするのが良いでしょう。
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少し重い土
培養土の比重は0.4~0.6ぐらいが適正であるといわれていますが、赤玉土の重さは約0.8と少し重い土となっています。赤玉土のみだと重く扱いづらくなってしまいますので腐葉土などと混ぜ合わせ少し軽くしてあげると良いでしょう。
ただ軽すぎる用土は植物が不安定となり倒れてしまう事もあるのでバランスの良い重さの培養土にしてあげましょう。
挿し芽や挿し木として使える
赤玉土は無菌で清潔な土のため挿し木や挿し芽の用土として使えます。肥料分の入っている培養土では、それを餌に雑菌が増え挿し穂を痛めうまくいかない事がありますが、赤玉土は肥料分を含んでいないため雑菌が増える心配もないので挿し木や挿し芽の成功度も高くなります。
粒の大きさに種類がある
赤玉土は粒の大きさに分けられて販売されています。
大粒 1粒 12~20mm
赤玉土の中で最も水はけと通気性が良いのが特徴で【ゴロ土】とも呼ばれています。
その大きさから主に鉢底石や軽石として使用されます。ただ水やりをしていくうちに、粒が崩れていくので定期的に交換する必要はあります。
中粒 1粒 6~12mm
鉢の大きさが5号以上などの背の高い植物や盆栽、根が太い植物に使用されます。
小さな鉢では鉢底石として使用することができます。水はけを良くするために小粒と混ぜ合わせて使うことも出来ます。
小粒 1粒 2~6mm
水はけと水持ちどちらともバランスが良く、もっとも使用しやすい大きさの種類となっています。
排水性がありながら適度な保水性も兼ね備えており、細い根が多い植物には根が張りやすい大きさとなっていますし、挿し木・挿し芽用としてもよく使用されます。
細粒 1粒 1~2mm
粒が細かいので水はけは良くありません。その反面水持ちは良くなります。
主に土壌の酸性度合いを強めるため他の土に混ぜ合わせて使います。
粒が大きくなれば排水性が良くなりますが保水性は悪くなります。反対に粒が小さくなれば保水性は良くなりますが排水性は悪くなります。育てたい植物の大きさと鉢の大きさに合わせて粒の大きさを選んであげると良いでしょう。
硬質赤玉土とは?
赤玉土を600℃から900℃の高温で焼き固め、硬度を高く加工したものを【硬度赤玉土】といい、土は使用していくうちに粒が崩れていきますが、こちらは粒があまり崩れにくく微塵もでにくくなっています。
粒がつぶれ微塵が出てくると排水性と通気性が悪くなってしまいますが、こういうトラブルも起きにくく長く使えるメリットがありますが普通の赤玉土よりも少し高価になります。
硬度赤玉土の他に【焼き赤玉土】【上質赤玉土】【超硬質赤玉土】とも呼ばれています。
*微塵(みじん)粒が崩れたときに出る粉のような物
赤玉土の成分・リン酸を吸着する?
赤玉土の主な成分として、ケイ酸・鉄・アルミニウムが含まれています。
その中でもアルミニウムと鉄はリン酸と吸着しやすく、リン酸肥料を赤玉土主体の用土に使用しても植物が利用できるのはそのうちの10~20%程度と言われています。
その対策としては、植物性堆肥や家畜糞の堆肥、粘土鉱物を混ぜ込むことでアルミニウムや鉄に吸着されたリン酸を植物が利用出来るようになります。
植物性堆肥に含まれている腐植酸はアルミニウムや鉄がリン酸を結合するのを防ぐことができ、ゼオライトやケイ酸塩白土などの粘土鉱物はリン酸と結合することで植物が利用しやすいリン酸カルシウムの状態にすることができます。
リン酸カルシウムであれば植物の根から分泌される有機酸で溶け植物が利用できます。
リン酸は肥料の三大要素の一つで、植物の生長に大切な肥料源でもあり、別名【花肥】や【実肥】と呼ばれ、リン酸が不足すると開花や結実に影響を及ぼします。
ですが観葉植物のメインは葉です。葉の美しさを楽しむ観葉植物にとって【リン酸の吸着】はそこまで気にすることではないと言えるでしょう。
赤玉土の使い方
植物を育てる土として
植物の培養土として最も多く使われる配合の割合は、赤玉土7腐葉土3を混ぜ合わせた物を黄金比と呼び【万能用土】となっています。通気性・排水性・保水性・保肥性に優れ、多くの植物が育つ配合となっています。
こちらを基準とし、あとは植物の好みに合わせて排水性を少し良くしてあげるのか保水性良くしてあげるのか、パーライトやバーミキュライトなどの改良用土を1~2割程度混ぜ合わせて調整してあげましょう。
室内で育てる観葉植物には
- 赤玉土 50% 鹿沼土 25% バーミキュライト 25%
この配合をおすすめしています。室内で育てていくので、コバエ対策も十分出来ていて排水性と保水性に優れた配合になっています。
その他にも植物に合わせた配合例を紹介していますので、こちらの記事も参考にしてみて下さい。
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挿し芽や挿し木として赤玉土を使う場合は、他の土を使わず赤玉土のみの土に植え替えてあげましょう。
コバエ対策として
観葉植物の土の表面に無機質の用土を敷くことでコバエを予防することができます。
コバエは有機物を好みます。キノコバエ類は土の表面の2~3cm程度の深さに卵を産み付け繁殖していきますので、土の表面約5cmを無機質の赤玉土にしてあげるとコバエの発生を予防することが出来ます。
コバエでお困りの方は一度試してみることをおすすめします。
金魚やメダカの飼育用として
園芸用で使うことの多い赤玉土ですが、金魚やメダカの飼育用として使うこともできます。
藻が発生しにくくバクテリアが住み着き水質を安定させるメリットがあり、水草などの根張りを助ける効果もあります。使用する際は、しっかりと水で洗い微塵を取り除いてあげましょう。
使用していくうちに粒が崩れたり水質が酸性に傾くと交換してあげることも大切になります。
赤玉土は植物の基本用土として使用頻度も多く、とても大切な役割を担っています。今回紹介したメリット・デメリット・使い方など、少しでも参考にしてもらえたら幸いです。美しい植物を育てていき、一緒にグリーンライフを楽しんでいきましょう。